こんにちは!
セールスコピーライティング普及協会 認定ライターの中岡です。
高額商品を扱う経営者として、決して無視できない法の見直しが進められていることをご存知でしょうか?
消費者庁のデジタル取引・特定商取引法等検討会が、2026年8月に公表した中間取りまとめ(案)には、次のような方向性が盛り込まれていました。
- ウェブ広告等で「無料体験」「モニター募集」と表示しながら、実際は有償の高額契約への勧誘を目的としている場合、勧誘目的の秘匿として訪問販売(アポイントメントセールス)規制の対象に含める
- 威迫・困惑させる勧誘行為の違法化と、消費者が一度断った後の再勧誘の禁止
- クーリング・オフ期間を8日間に統一する方向での整理
- 広告表示と実際の請求額が著しく乖離した状態で、外部からの介入が難しい環境下での高額勧誘(いわゆる「レスキュー商法」的な手口)への規制強化
※消費者庁「デジタル取引・特定商取引法等検討会」第8回(2026年8月24日開催)で示された中間取りまとめ(案)より
まだ案の段階であり、実際の法改正・施行は2027年以降の予定ですが、方向性はほぼ決まっています。
この背景には、SNS上でも「即決を迫られたら怪しいと思え…」「高額塾は詐欺まがいな商売が多い…」といった言説の広がりと高額品に対する警戒心の高まりがあるのです。
正直に言うと、「無料セミナーから始まり、個別相談を経て高額なバックエンド商品を案内する」という流れそのものは、ここで名指しされている構造と外形がほぼ一緒。
だからといって、無料セミナーからの高額商品案内という、ビジネスモデル自体を禁止する話ではありません。
問題視されているのは、あくまで勧誘目的を隠すことや威迫・困惑させること、断られた後もしつこく食い下がること。
そこで今回は、そうした規制の対象になりにくくするポイントをお伝えします。
真面目にセールスを行っている経営者の方も「うちのやり方は大丈夫だろうか」と一度立ち止まって考えておく価値は十分にありますので、ぜひご覧ください。
伝え方よりも信頼の積み上げ

先ほど紹介した見直し案は、あくまで入口の無料訴求で勧誘目的を隠すことに焦点が当たっています。
つまり線引きのポイントは、事実を正しく伝えているか否かです。
- 規制対象になりやすい型:無料であることを強調し、実際には高額商品の勧誘が目的であることを最後まで伏せたまま会場に誘導する
- 規制対象になりにくい型:セミナー案内の時点で、本セミナーの最後に、有料の個別サポートについてもご案内する旨が事前に明示している
集客の文言を工夫するあまり、案内の段階で無料という言葉が独り歩きし、その先に商品案内があることが伝わっていないケースは、実際少なくありません。
だからこそ、後者のように事前に明示するように伝える必要があります。
私は普段、宝飾品や時計などの高額商品の小売店を経営しています。
何十年も前の話ですが、本業界では、その場で即決させるために強引なローン販売や値引き販売が頻繁に行われていました。
しかし、クーリング・オフ制度の導入やこの度のような規制強化で、その場で無理に成約に繋げるセールスはできなくなっております。
そのため、セールスのやり方よりも、いかに信頼を積み上げて選ばれるかが重要視されています。
高額セミナーなど無形商品を扱う業界も、今まさに同じ転換点に差し掛かっているのではないでしょうか。
「即決させる」と「即決してもらえる」の違い

あなたが行っているのは即決させるクロージングでしょうか?
それとも即決してもらえるクロージングでしょうか?
ここで整理しておきたいのが、当協会がお伝えしているその場での成約は、決して無理やり契約させることではないという点です。
- 即決させるクロージング:不安を煽られ、考える時間を十分に与えられず、断りにくい空気の中でやむを得ず成約する
- 即決してもらえるクロージング:関連情報を十分に提示し、相手が自分の頭で納得し、判断材料を整えた上で成約する
同じ成約に見えても、上記を見るとお分かりのように中身が全く異なるのは明らか。
規制強化の議論が問題視しているのはあくまで前者であり、後者までは否定されておりません。
難しいのは、この違いが、セールスを受ける見込み客側からは見分けにくいということ。
だからこそ売り手側は、意識的に健全なクロージングで即決できる設計をする必要があります。
圧迫セールスを回避する5つのポイント

本項目では圧迫セールスだと感じさせないために、意識していただきたい5つのポイントをお伝えします。
「今決めなくていい」と一度は伝える
逆説的ですが、「今決めなくても大丈夫です」と一度言葉にすることで、聞き手は無理に売り込まれているという警戒を解きます。
なぜなら、人は選択の自由を奪われそうになると、かえってその選択肢自体を拒みたくなる心理(心理的リアクタンス)を持っているため。
敢えて、決めなくていいと伝えることで、この反発心をあらかじめ取り除いておくイメージです。
その上で「とはいえ、今決めた方が得られるものがあるとしたら…」と続ける方が、結果的に自然な即決に繋がります。
検討に必要な情報を先回りして伝える
価格やサービス内容、解約・返金の条件など、見込み客が本来自分で調べたり質問したりするはずの情報を、聞かれる前にすべて提示しておく。
クロージングを行う前に、こうした内容を伝えておくことはかなり効果的です。
特に高額商品の場合、都合の悪い情報を隠しているのでは…という疑いを持たれやすくなります。
そのため、敢えて自分から先に、デメリットや注意点まで含めて説明してしまう方が、結果的に信頼が積み上がるのです。
契約や説明内容を形で残す
説明会の資料を持ち帰れるようにする、重要事項を書面やスライドで明示する、必要に応じて録画を残す。
こうしたセールスの内容を形で残すことは、言った・言わないのトラブルを防ぐと同時に、ちゃんとしている会社だ!という印象にも直結します。
特に押さえておきたいのは、「価格の内訳」「契約期間」「途中解約時の対応」「返金ポリシー」の4点。
口頭で説明しただけで終わらせず、これらをスライドや配布資料の中に文字として残しておくと、見込み客は後から自分のペースで見返すことができます。
単なる証拠作りではなく、その場では判断しきれなかったことを後で確認できる安心感に繋がります。
対面ではなくオンライン開催の場合は、チャット欄や画面共有資料に重要事項を残しておくだけでも十分です。
録画についても、全編を残す必要はなく、価格提示とクロージングの部分だけ切り出して残す運用でも構いません。
大切なのは何かしら形で残すことであり、その対応が「きちんとしている会社だ」という信頼感にも繋がります。
相手主導の言葉を選ぶ
セールスや個別面談などで、即決を促す場面でも、言葉の選び方で印象が全く変わります。
- 圧迫的に聞こえる例:今日決めていただいた方だけの特別価格なので、今この場でお返事ください。
- 圧迫的に聞こえにくい例:今日決めても、来月決めても内容は変わりません。ただ、今日決めていただいた場合は〇〇のサポートを最初から使っていただけるので、その分スタートが早くなります。焦らず、必要なら質問も遠慮なくどうぞ。
今しかないという限定性だけで判断を迫ってしまうと、相手にはどうしても「決めさせられている」という感覚を与えてしまいます。
しかし、判断の主導権を相手に残す進行であれば、即決して欲しい意図は同じでも、伝わり方は全くの別物。
ポイントは、主語をこちらではなく、相手に置き続けることです。
「決めてください」ではなく「決められる状態です」、「今しかない」ではなく「今なら〇〇があります」。
この小さな言い換えの積み重ねが、圧迫感を和らげることに繋がるのです。
成約されなかった場合の準備
その場で決めなかった人への対応は、追いかけるか放置するかの二択となります。
追いかけすぎれば、「圧が強い会社だな…」と思われ、放置すれば、「その場で決めた人にしか興味がなかったのか…」という不信感に繋がります。
目指したいところは、この中間にある退出しやすい導線。
具体的には、セミナーや個別相談の最後に「検討した結果、合わないと感じたら遠慮なくお断りください。しつこいご連絡はしません」と、あらかじめ明言しておきます。
その上で、フォロー連絡は1〜2回までに控えて、「ご不明点はありませんか」「先ほどご案内した特典は〇日まで有効です」といった、相手にとって意味のある情報提供に絞ります。
くれぐれも成約を促す催促だけの連絡は避けましょう。
こうした安心感を与える姿勢が、結果的に断った人からの悪評を防ぎ、対応が誠実だったという評判や、時間を置いてからの再検討・紹介に繋がることもあります。
なお、成約の取りこぼしを個別面談によって取り戻すこともできます。
以下のコラムで詳しくお伝えしておりますので、ご覧ください。

即決を狙わないと売上が…という不安

「そうは言っても、うちは即決前提で数字を組んでいるから、悠長なことは言っていられない」と感じた方がいらっしゃるかもしれません。
大切なのは、即決してもらえる状態を作り込むこと。
前項でお伝えした5つのポイントは、どれもセミナーや個別相談の設計に組み込める内容であり、成約のスピード自体を犠牲にするものではありません。
むしろ、見込み客の警戒心をあらかじめ解いておくことで、クロージングの場での抵抗が減り、結果的にはこれまでよりもスムーズに即決してもらえるようになるケースがほとんどです。
考える時間を与えると、相手が「では考えます」で帰ってしまうのでは…と不安に感じるかもしれません。
しかし、判断材料を出し切っているのに「考えます」で終わる場合、そもそも今回のオファーが自分に合っていなかった人。
無理に押し込んでいた場合、この層は契約後にトラブルの火種になりやすいのも事実です。
今すぐ成約しないという方は、こうした本来は縁がなかった層を早い段階でふるいにかける効果もあると捉えると、恐れる必要はありません。
まとめ
今回は以下の内容について、お伝えしました。
- 消費者庁は、無料を強調して勧誘目的を隠す手口などを規制する方向性である
- 問題なのは、その場で決めてもらうこと自体ではなく、勧誘目的を隠したり、相手の意思を無視して押し切ること
- 即決させるセールスと即決してもらえるセールスは、同じ成約でも中身は別物
- 圧迫セールスを回避する5つのポイント
- 強引に契約を迫ってしまうと、トラブルの火種になりやすい
高額商品・セミナー商法をめぐる規制強化や生活者の警戒心の高まりは、正直、経営者にとって向かい風に感じられるかもしれません。
ですが見方を変えれば、圧迫セールスとしか売り方を知らない同業者との差をつけるタイミングでもあります。
・情報を隠さない
・考える時間を尊重する
・後から確認できる形にする
・断った人への対応まで丁寧にする
こうした姿勢を明確に打ち出すことができれば、怪しくない、信頼できる売り手として選ばれる側に回ることができます。
規制の動きを避けるべきものとしてではなく、選ばれる理由に変えていく。
そんな視点で、ぜひ一度、自社のセミナー・個別相談会の設計を見直してみてください。
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最後までご覧いただき、ありがとうございました。


